第35章「魔物にされた王と妃」

リナたちはセルタ王子の誘いでクロノ王国の城にいた。

しかしクロノ王国ではおぞましいことに、セルタ王子の両親である

国王アンソニー王妃ヴィクトリア

何者かに呪いをかけられ人面モンスターの姿にされていたのだ。

スタン「なんてことだ...僕のパパとママもこんなことになったことないのに…!」

ケニー「我が両親を目の前で化け物にされると考えると…いや、それは考えたくもないのだ!」

セルタ「父上...母上..聞いてくれ...僕だよ…セルタ王子だよ…!」

アンソニーヴィクトリア「......セ......タ......!」

セルタ「覚えてないのか…父上はいつも悪い人から僕を守ってくれた...僕を立派に育ててくれた...

...母上はいつも僕を慰めてくれた…食事の時も毎度美味しいご馳走作ってくれた...!」

ピコレ「おうじさま...!

(ピコレのおかあさまとおとおさまもやさしかったのおもいだすよ...)」

アンソニーヴィクトリア「............!」

セルタ「だからやめてくれ!僕と父上と母上は...大切な家族ではないか…!?」

ヴィクトリアアンソニー「...セ...ル...タ...お...う...じ......

ギシャアアアアア!!!」

するとアンソニー王とヴィクトリア女王の精神はますます暴走し、セルタ王子をめがけて突進してきた。

セルタ「父上...母上...そんな...!」

するとリナとハルトは剣を盾にし突進する二人からセルタ王子をかばった。

ハルト「おい、セルタ!てめー何やってるんだ!奴はもう完全な化け物だ!

もう人間じゃねーんだぞ!」

セルタ「でも…!」

リナ「セルタ君、貴方の気持ちは分かる...どうしてかというと大切な人を失いたくないから…!」

セルタ「アップル様...!」

リナ「王様、王妃様...もうやめてあげて!セルタのことを思い出して...!」

ハルト「そうだ!目を覚ませ!テメーはアンタの息子の前にいるんだぜ!」

アンソニー王「...儂を.........妨げるのか…......!?」

ヴィクトリア女王「ならば.........お前から.........食ったるわ.........!」

するとヴィクトリア女王はその蛇のような体でリナの体にグルグル巻き付いた。

リナ「ふああああっ!!!」

ラジン「アップル殿!」

リナ「嫌だ…離してぇ!!!」

ヴィクトリア女王「...なんて柔らかい体じゃのう...胸や尻に何か硬い物がついてるようじゃが…」

ハルト「てめえ...このヘビ女が...!」

するとアンソニー王はヴィクトリア女王の盾になる様にハルトの前に立ちふさがり

アンソニー王「......儂の...愛しい......妻に...手を...出させん.........」

そういうとアンソニーは口からピンクを帯びた紫色の毒の液体をハルトに向かってまき散らした。

ハルト「グアアアアア!!!なんだこれは...苦しい.........!」

ジギー「NO!アレは毒液ダ!この液を浴びると毒に犯されて数分後に死ぬゾ!」

ハルト「何!?早く毒消しを………!」

ピコレ「あー!はやくしないとハルトさまがしんじゃう!

かいふくならピコレにまかせて!回復魔法『ロイヤルキュア』!」

パアッ!!!

ピコレが放った桃色の光がハルトを包み、

ハルトを犯していた毒を消すと同時に毒に溶かされた体も完治させた。

ハルト「ありがとよ…もう少しで死ぬところだったぜ...!」

ピコレ「てへへーほめられちゃったー。」

リナ「ぐす…ひっく...助けて...私の体が巻き付けられて身動きが取れないよぉ…!」

ヴィクトリア女王「泣いてもおしっこ漏らしても無駄じゃ......お前も童のよだれで苦しむが好い…

あの騎士とおなじ様にな......!」

リナ「嫌ああああっ...!!!」

リナの体に巻き付いていたヴィクトリア女王は口からリナに向かってよだれをたらそうとすると…!

ジギー「このままじゃリナが危ナイ......痺れロ!『ショックガン』!」

ジャッ!!!

するとジギーはヴィクトリア女王の足に電磁砲を放った。

ヴィクトリア女王「キエエ!!!...し...び...れ...る...!」

するとヴィクトリア女王は痺れてリナを離した。

リナ「ありがとジギー君...おかげで自由になれたぁ...ぐすっ...!」

ジギー「泣くなヨ、男だロ...あ、アンタ女だったネ。ゴメンゴメン。」

ゴルバ「何が起こったのか知らんが一体何があったんじゃのう...!」

アユリ「本当は傷つけたくないのですが...とりあえず正気の戻さないと...!」

セルタ「父上、母上!もう本当にやめてくれ!これ以上人が傷つくと目にあてれられないんだ!」

アンソニー王「目障りじゃ…うっとうしいんじゃあああ...!!!」

するとアンソニー王は再び突進してきた。

ゴルバ「国王さん、目を覚ませぃ!『ギガントナックル』!!!」

ドゴォ!!!

アンソニー王「ギシャア!!!」

ヴィクトリア女王「おのれ...よくも童の夫を...キエエエエエエエ!!!」

今度はヴィクトリア女王が突進してきた。

スタン「悪いけど動きを止めてあげるよ、雷の魔法『センチネルショック』!!!」

ビリビリビリビリ...

スタンの魔法による電磁波でヴィクトリア女王は痺れて動けなくなった。

ヴィクトリア女王「体が…うう...」

するとヴィクトリア女王は涙を流し泣き始めた。

アンソニー王「ヴぃ...ヴィクトリア...!」

するとアンソニー王も泣き始めた。

ラジン「一体どうした?二人が…涙を流している…!?」

リナ「ホントだ...泣いてる…!?」

セルタ「父上...母上...!?」

ヴィクトリア女王「セルタ...助けて...童...もう...どうしたらいいのか…わからないわ…!」

アンソニー王「こんな姿では儂と王妃はもうこの世に生きられん…じゃから…

儂からの...最期の…願いじゃ......儂と...王妃が...完全なる...化け物に...なってしまう前に...

...儂と...王妃を...殺してくれ...!」

ハルト「こ...殺せ...だと…!?」

ヴィクトリア王妃「うう...お願い...これ以上...貴方を...苦しめたくないの…

お願い...童を...殺して...!」

リナ「そんな...あなたたちを殺すなんて...私達には無理なの!

あなたが死んじゃったら…セルタくんも悲しむの!」

スタン「そうだ!お前が死んじゃったら誰がこの王国を守るんだ!?」

ラジン「我慢してくれ...もうじきお前を元に戻す術が見つかるかもしれん…!」

ケニー「たとえ元盗賊である吾輩も盗みはしても人を殺したことはないな…

だからお前らを殺すわけにはいかないのだ!」

アンソニー王「そうか…儂が化け物になってこの国を亡ぼすのを待つか…!」

アユリ「いや、そんなことはありません!絶対あなたを元の姿に戻して見せます!」

ピコレ「こんなりっぱなくには ピコレたちが ぜったいに ほろぼさせないもん!」

ジギー「だから自分を殺せとか言うナ!」

ゴルバ「もっと自分を...この国と共に大事にせい!」

アンソニー王「...たとえ儂が…化け物の姿になってもか…!?」

セルタ「たとえこんな姿になっても僕にとって父上と母上は大事な家族...

だから絶対に...殺せないんだ...だから自分を殺せとか...絶対に言ったら駄目だ!」

ヴィクトリア女王「大事な.........!?」

アンソニー王「家族.........!?」

二人は泣きながら説得するセルタの泣き顔を見ると二人の目からさらに涙が出て、

二人は体が元に戻らなくとも心を取り戻したようにうずくまった。

リナ「二人が…止まった…!?」ハルト「なんつー説得力だ...!」

???「クックック…どうやら正気に戻ってきたな…もう少し呪いを強めなくては...!」

すると壺の陰からローブを着た謎の男が現れた。

リナ「そんな...誰なの…!?」スタン「ローブ!?まさか魔法使いか!?」

ハルト「てめーは!?」ラジン「何奴!?」ケニー「誰なのだ!?」

アユリ「あなたは...!?」ジギー「嫌な予感ガ...!」

ピコレ「あーっ!あやしーひとー!」ゴルバ「もしや…!?」

セルタ「誰だお前は!?名を名乗れ!?」

???「私の名はウィドシーク

いかがでしょう?私の魔物に変える魔法は...。」

セルタ「そうか…お前だな…僕の父上と母上を...こんな姿にさせたのは...

そして我がクロノ王国にモンスターを放ったのも...!」

ウィドシーク「残念...ばれてしまったか…正直に言う。セルタ王子よ、

どうだ?この国はかつてヴァストローデが居た様にモンスターまみれになっているだろう。

実はここに出てくるモンスターは皆私が放ったものさ。

それにお前の父上と母上は私が改造した。見よ、彼らはもはや人の姿をしていない。

つまり理性のかけらも何もない魔物さ。まあ、私を殺してみるかい?

たとえ私が死んでも二人は元に戻らないかもがな...ククク...!」

セルタ「ウィドシーク、貴様ああああああああ!!!」

するとセルタ王子は怒りを込めてウィドシークに向かって矢を放った。

その矢はウィドシークの腹部に当たったが...

ガキーン!

なんとウィドシークの体は鉄で出来てるかの様にセルタの矢が弾かれたのである。

ウィドシーク「おお...私の身体に矢が危うく貫きそうだったではないが。

しかしそんな憎しみを込めた矢ではこの私を倒すこと構いません。」

セルタ「そんな...僕の矢が効かないなんて…!」

ウィドシーク「さあ、これで分かっただろう?

最後に冥途の土産に私の本当の姿を見せてあげるとしよう...」

するとウィドシークはローブをバサッと脱ぎ捨て、その禍々しい本来の姿を見せた。

リナ「あれは...!?」ハルト「強そうだな...!?」スタン「この格好は...!?」

ラジン「邪気を感じる...!」ジギー「コイツが元凶カ…!」ケニー「盗賊よりタチ悪そうな奴だ…!」

アユリ「なんておぞましいですの...!」ピコレ「ぴゃー!!!こわいよー!!!」

ゴルバ「油断してはならん…奴があの王さんと女王さんを改造した元凶じゃ...!」

ウィドシーク「フッフッフッ...どうだ?腰が抜けたか?そうさ、これが私の本当の姿さ!

そしてみよ、この鎧...これで貴様の矢を防いだのさ!アイゼンベルグ王子!」

セルタ「くっ...!」

ウィドシーク「さあ、後は適当に相手してやれ二人とも。私は早いうちここを去っていく。」

アンソニーヴィクトリア「はい...ウィドシーク様…!」

するとおとなしくなっていた国王と王妃は急に再び泣く泣く暴走した。

セルタ「そんな...父上、母上...!」

ウィドシーク「では皆さん、さようなら...

フッフッフッフッフ...ハーッハッハッハッハ!!!」

こうしてウィドシークは高笑いをしながら玉座を去っていった。

セルタ「くっ...僕はどうすれば...!」

するとリナたち9人がセルタ王子を襲う二人の前に立ちふさがった。

リナ「セルタ!早くウィドシークを追ってぇ!」

アンソニーヴィクトリア「...お...ま...え...は...!?」

セルタ「み...みんな!?」

ハルト「てめー!何ボケっとしてんだ!?とっととあのウィドシークとかいう糞野郎を追え!」

ジギー「セルタクン!あのウィドシークを倒したいんだロ!?」

ケニー「お前の両親を元に戻したいのだな!?だから急ぐのだ!!!」

ゴルバ「もしウィドシークをやっつければお前さんの両親も元に戻るはずじゃ!」

スタン「そうだ!二人が完全な化け物になる前にさっさとウィドシークを倒すんだ!」

アユリ「貴方のお母さんとお父さんはあたしがひきつけます!だから先に行ってください!!!」

ラジン「アイゼンベルグ殿...心配は無用...我はあ奴を殺さん…!」

ピコレ「だってあなたの おかあさん と おとうさん なんだもん!

ぜったい ころさせないよ!」

リナ「ね、セルタ君...私たちのことは大丈夫だから…後は私たちに任せてね...!」

セルタ「ありがとう…みんな...僕は必ず奴を倒し父上と母上を...救って見せる!!!

待ってろよ…ウィドシーク...!」

こうしてセルタ王子はリナたちが魔物にされた両親を引き付けるうちに

玉座から出てウィドシークの後を追っていった。

果たしてセルタ王子は、無事ウィドシークを倒し両親を元に戻せるのか…!?

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