第26章「囚われたエルフたち」

 

ここはガトー山の頂上の洞窟の最深部。

ここにはエルフと呼ばれる亜人たちが多量に囚われていた。

中にはゴルバの妻であるダークエルフのシーバ、そしてその娘のフローレンも囚われていた。

フローレン「おかあさま…こわいよ…!」

シーバ「駄目よ、フローレン...あの人に逆らったら…貴方まで殺されるわ…!」

フローレン「でも…あのひと…あたしたちのなかまを…!」

フローレンが前を向くと、一人の怪しげな老人がさらってきたエルフを運んでいった。

老人「ふむ、なかなか興味深いエルフだぞい…。」

エルフの男「やめてくれ...僕、まだ結婚してないし子供も産んでない…」

老人「 ぶっひゃっひゃ!命乞いなんど通用せんぞい!さあ、黙ってわしの研究所へ!」

エルフの男「わあああああ!!!」

フローレン「ほらね!このままほっといたらなにしてくるかわからないよ!

なんとかしてこのなわをほどかなくちゃ…!」

シーバ「駄目よ!これ以上大きな声出したら…!」

老人「ん~~~?なんかごちゃごちゃ言ってるぞい?気のせいかな~?

これが終わったら次はお前の番ぞい。」

シーバ「ああ...見つかったじゃない…もう…!(ああ...ゴルバ…!)」

フローレン「ごめんなさい…(ああ、おとうさま…はやくたすけにきて…!)」

 

そのころリナたちは、時折出てくるガンロックやゴーレム、ツチオバケと戦いながら

ゴルバの妻子をさらったマッドサイエンティストがいるとされるガトー山の頂上を目指していった。

ハルト「ハア、ハア…ここもモンスターでいっぱいだな…でもいい運動になるから構わねーけどな。」

アユリ「トロールさんに作ってもらった朝ごはんの目玉焼きも美味しかったし体力満々ね、あたしたち。

それよりアップルさん、この山の上に亜人たちがとらわれてるって本当?」

リナ「うん、ゴルバさんはそう言ってた…さらにエルフたちをさらったマッドサイエンティストが

エルフたちで人体実験してるみたいなの。」

ケニー「人をさらって人体実験か…なんて罪深いことなのだ…。」

ピコレ「ピコレ、そんなつみのないひとにひどいひどいするひとなんて

ぜったいにゆるさない!」

ラジン「悪しき者はいずれ滅ぶ…罪のなきエルフをさらい人体実験を行う者もその運命に逆らえない。」

ジギー「人体実験するなんて、科学者とは言わないゼ。」

スタン「そうだ!ブルークみたいな天才科学者になれんぞ!」

ジギー「いや、ドクターリックのほうが立派な科学者だヨ。」

スタン「ブルークだ!」ジギー「ドクターリックだ!」

リナ「二人ともケンカはだめぇ!ボスのところに着くまで体力つかっちゃうよ!」

スタン「わりいわりい。」ジギー「オレもサーセン。」

こうしてリナたちは頂上に着いた。

スタン「ふー!やっとたどり着いた...!」

リナ「ここにあの悪い科学者が住んでるのね?」

ジギー「間違いない、ここにエルフたちの気配を感じるヨ。」

スタン「でも、いったいどこにあるんだ?あのマッドサイエンティストの隠れ家の入り口ってのは。」

ケニー「それはここだ!」

するとケニーは力任せで大きな岩をどかした。すると岩の下に階段のある穴があった。

ラジン「そうか、ここにエルフたちが捕らえられてるというのか。」

アユリ「つまりここに悪い学者がいるんですね。分かります。」

ハルト「そうか、あのクソジジイなんてやっつけてさらわれたエルフたち助けてやろうぜ!

(てか妻子助けてーならゴルバの奴が行けばいいのに…なんて世話の焼ける爺さんだ!)」

ピコレ「うん、ピコレもいくからあのエルフのおっちゃんのためにもがんばろーね!」

リナ「待っててね、ゴルバさん。貴方の奥さんと娘、

この私が、このリナ=アップルが助けてあげるから…!」

こうしてリナたちは、ガトー山の頂上に隠された穴の階段を下りて行った。

リナ「なんかここ、灯に照らされて明るいね。つまりここに人がいるってことね。」

スタン「うん、間違いない。あのマッドサイエンティスト、

いったいどこから灯を仕入れたんだろ…?」

ピコレ「やっぱりピコレ、こわーい!」

アユリ「大丈夫、あたしたちが守ってあげますから…。」

こうしてリナたちは階段を最後まで降りると、監獄のある大広間を見つけた。

檻の中には捕らえられたエルフたちがたくさんいた。

ピコレ「あー!みみがとがったひとがいっぱい!」

ラジン「つまりこれがあ奴に捕らえられたエルフたちか…」

エルフA「おーい!助けてくれー!」

エルフB「俺達こんな暗いところはもうこりごりだ!」

エルフC「僕たちあのジジイの実験体にされてるんだ!だから早く出してくれー!」

リナ「大丈夫!私が出してあげるから…でもカギは?」

するとビキニアーマーを身にまとった肌の黒いエルフがリナに語った。

女エルフ「それは、私達をとらえたあのジジイが持ってるよ。」

エルフA「ちょ、シーバ様...!」

リナ「ねえ!ここにゴルバさんの奥さんと娘がいるって聞いたんだけど…。」

シーバ「いかにもあたしがゴルバの旦那の妻、シーバ=トロール

それにあたしはそこらのエルフとは違う、珍しいダークエルフさ。

そしてこの髪の毛の赤い子エルフは私の娘のフローレンさ。」

フローレン「よろしく...!」

シーバ「それより早くここから出してくれない?あたしがうちにいないと

うちの旦那がうちの食料で勝手に料理しちゃうから。」

リナ「ねえ、あの爺さんどこにいるの!?」

フローレン「あのひとならあそこのけんきゅうじょに…」

ハルト「そうか、あそこにマッドサイエンティストとやらがいるんだな。」

リナ「ありがとう!待っててね!あの爺さんから鍵を奪い取って

みんなをここから出してあげるから…!」

フローレン「おねがいね、同じビキニアーマーを身にまとたねえさん…!」

こうしてリナは、フローレンに案内された通り研究所のある穴へ向かった。

そこには、一人の血まみれの白衣を着た老人がいた。

そしてその老人は、さらってきた一人のエルフを麻酔で眠らせ剖検していた。

老人「ぶっひゃっひゃ。なかなか興味深いエルフじゃの。これはいいデータが取れそうじゃ。」

リナ「あれだよね!?エルフをさらった爺さんって…!」

アユリ「ひどい…亜人のお腹を斬るなんて…」

老人「なんじゃ?わしの研究所に興味あるのかね?」

スタン「まずい、見つかったぞ…!」

ピコレ「きゃー!ピコレ、おいしゃさんこわいよー!」

ケニー「ちょっと落ち着け!」

老人「さて、冥途の土産に自己紹介しよう。

わしはエルフの研究をしている天才科学者Drジーク=マクロイドという者じゃ。

この研究所に何か用かね?」

ハルト「いえ、結構だ。それにテメーだな!?

何の罪のないエルフをさらって実験してるというクソジジイは!」

Drマクロイド「よくぞ聞いてくれた!耳の尖ったエルフってのは人と違うから実験体には最適…。」

リナ「断る…この人殺し…!」

Drマクロイド「なんじゃと…!?わしの研究が、気に食あんのか?」

リナ「当然よ!罪のないエルフをさらって更に自分の好きなようにして…

そんな痛々しいことして罪悪感を感じないの!?」

Drマクロイド「自分の好きじゃと!?何訳の分かんことを!

わしはただエルフの研究しているだけなのじゃ!」

スタン「君、極悪非道って言葉知ってるかい?マッドサイエンティスト野郎。」

Drマクロイド「ごくあくひどう…!?聞いたこたないぞい。」

アユリ「極悪非道とはそういった酷いことを平気でやる心無き人間です。

例えばあなたの今やっている、人体実験を平気でするとか。」

ラジン「つまり貴殿は何の罪のない人間を平気で苦しめている。言ってることがわかるか?」

Drマクロイド「平気で苦しめてるじゃと!?失敬な!これは研究じゃ!研究!」

ケニー「たとえ研究と言ってもそんな極悪非道なやり方は感心できんのだ。

人の姿をしたものは感情がある。しかしお前はそれを…逆なでにしているのだ!

吾輩だって人魚から卵を奪った…が、それが過ちであることに気付いたのだ!

人魚にだって感情はある。そのエルフだって同じだ!」

Drマクロイド「ふん!何訳の分かんことを!わしにとってそういった亜人は家畜偶然!

亜人の研究はわしの勝手じゃ!邪魔はさせんぞい!

それに老いぼれた老人に逆らうと痛い目に合うぞい!」

すると本気で怒ったリナはDrマクロイドの近くにヘブンスパークをお見舞いした。

Drマクロイド「ぶひゃあ!!?なんじゃい!わしとやるんかいな!?」

リナ「当然…私はあなたを倒して鍵を手に入れ、貴方に捕らえられたエルフたちを…ここから出す!」

Drマクロイド「わしを倒す…だと?ぶっひゃっひゃ!可笑しい女じゃな!

そんな簡単にわしを倒せるとでも思ってんのか!?

わしには切り札があるのじゃ!これを見るがいい!」

するとDrマクロイドは白衣の中から青い液体の入ったフラスコを取った。

リナ「これは…!?」スタン「薬かポーションみたいなもんだろ…!?」

ジギー「NO!アレは肉体をモンスターに変えてしまう薬ダ!」

7人「ええっ!?」

Drマクロイド「ぶっひゃっひゃ!その通りじゃ!このはわしが作った飲んだ人の姿を化け物に変えてしまう

恐ろしい薬じゃ!これを飲めばアンタなんてありんこみたいに潰してやるぞい!

飲んだら二度と元に戻れなくなるが…強くなるためならそれを覚悟するぞい!

ごくごくごく…」

するとDrマクロイドは自らが作った姿を変える薬を飲んだ。

ラジン「これは…!?」アユリ「なんて…おぞましいの!?」

Drマクロイド「うおおおおおお!?なんじゃこの薬は!?なんか体が変じゃあ~~~!」

ハルト「てめーが飲んだんだろーが!」

スタン「そうだ!自分が飲んだんだろ!」

リナ「ツッコミ入れてる場合じゃないよぅ!早く下がろう!」

するとDrマクロイドの肌が青くなりみるみる巨大化し服も破れ、目も赤くなり6つに増え、

耳と鼻と髪の毛が退化して消え、口に大きな虫のあごのような牙が生え、

いたるところにトゲが生え、Drマクロイド巨大モンスターに変化した。

マクロイド「ま…マジで化け物になってしもうたー!!!

これではもう二度と研究ができん…いや、力みなぎるぞ…!」

ピコレ「きゃあああ!!!ばけもの!!!」

リナ「ふああああ!!!何これ…!?」

ジギー「駄目ダ…どう解析しても未確認のモンスターと出てシマウ…

人から変身したモンスターなのは事実だガ…。」

マクロイド「ぶはは…腰抜けたか?これが私の新しい姿だ…薬飲んだらなんか若返ったような気がするぞ…

この新しい姿になると…手加減ってのができなくなるんでな!私は無敵だ!

さあ、貴様らなど一気にまとめてひねりつぶしてくれるわ!覚悟せい!」

リナ「ああ...!」ハルト「くっ…!」スタン「ヤバい…!」ラジン「なんてことだ…!」

ケニー「バカな…!」アユリ「そんな...!」ジギー「ギギギ…!」ピコレ「ピコレ、こわいよ~!」

マクロイドは自らが作ったポーションを飲んだことで恐ろしいモンスターなった。

果たしてリナたちは、怪物の姿となったマクロイドを倒し

ゴルバの妻子と他のエルフたちを救出できるか…!?

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