第25章「重戦士ゴルバの家」

 

新たなる仲間ピコレと共に、リナたちはフラン王国の西のガトー山を登っていった。

スタン「また山か…また僕の足がもつれちゃうよ…」

ハルト「情けねーなー、それでも男かよ。」

ラジン「険しい山を登るのも強くなるための修行なのだよ。」

スタン「分かった、つまりこの山を乗り越えれば強くなるんだな?」

ラジン「その通り、海や山を乗り越えれば強くなる、これを頭に刻んでおくといい。」

スタン「うん、わかった!こうすれば僕も手品師に…(でもあの学園のナメクジのシチューはもういらん…)」

ケニー「吾輩も自分の辛い過去を乗り越えなくてはいかん…

だから小さなことでくじけてはいかんのだ!」

リナ「乗り越えたら強くなる…。」

アユリ「どうしたの、アップルさん?」

リナ「いや、なんでも。それより早く先へ進もう!」

アユリ「そうですね、アップルさん。ばすとろうでを野放しにするわけにいきませんから。」

ピコレ「ピコレだってあのルイス3せいにおかあさまとおとうさまをころされた…

さらにだいじなねえさまもきずつけられた…そんなトラウマも

のりこえなくちゃいけないのかな…?」

ジギー「それもそうだガ、もう過ぎたことは忘れたほうがいいヨ。

辛い過去を乗り越えて強く生きないとネ。

でもオレは家族も故郷も肉体も失った…

それでもオレは挫けない…何故ならもう過ぎたことダカラ…!

つまり過去ばかりに縛られてはいけないってことサ!」

ピコレ「うん、あのときのトラウマにまけないもん…!

だってピコレ、おひめさまだから…!」

すると地面から、靭のようなモンスターが5体ボコっと出てきた。

リナ「ふああ!!!土の中から何か出てきたぁ!?」

スタン「なんだこれは!?地面からソーセージか!?」

ハルト「なんだ、弱そうじゃねーか!これなら楽勝だぜ!」

ラジン「地中にもモンスターが住んでいるとは…世の中不思議なものだ…。」

ピコレ「あーっ!いけない!あれはツチオバケだぁ!たびびとをころばせたり

ひとのはたけをあらしたりするこまったさんなの!」

ジギーツチオバケ…突如地面から顔だけ出してくるモンスター…

奴は土属性だから電撃は効かないヨ!」

リナ「土属性…相手が土なら草系の魔法が有効だったね?

私に任せて!緑の魔法『寄樹(やどりき)のプリズム』!!!

リナが剣を天にかざすと剣からからエメラルドグリーンの一本の光線が天に向かって放ち飛び、

空から炸裂するように無数の緑の光線がツチオバケたちに向かって散らばり、その光を浴びたツチオバケたちは

リナの放った光によって体力をリナに吸い取られていった。

ツチオバケたち「ふにゅ~~~…。」

そしてディグレットたちは5体とも一気に体力を吸い取られ力尽きた。

ピコレ「すごいよリナさま!ツチオバケをいっきにかたづけちゃったよ!

しかもピコレいがいにたいりょくをすいとるまほうがつかえるなんて…!」

リナ「だって私は魔法剣士だ・か・ら♡」

スタン「でも僕の方がアップルよりもっとすごい魔法使えるんだけどね。」

ラジン「それ、アップル殿に失礼なのだよ。」

スタン「わりいわりい。」

アユリ「あたしだってあまり魔法使いこなせないのに…もっと教えてもらいたいです…。」

リナ「あゆりちゃん大丈夫!魔法が上手くなくても頑張ればなんとかなるよ!」

アユリ「ありがとう、アップルさん…。」

ハルト「たく、こいつら俺にも5体一気に蹴散らせそうだったのにな…。」

ケニー「吾輩なんてこいつらに岩ぶつけてストライクだぞ!?」

ジギー「まあ、争ってないでとにかくサッサと先へ進むヨ。」

7人「はーい!」

こうしてリナたちは、ガトー山の中腹へ着くと、小さなお城のような家があった。

 

ピコレ「あー!!!あんなところにおうちが!!!」

リナ「あ、ほんとだ…こんなとこに家が…。」

ハルト「なんか人が住んでるみてーだ。」

ジギー「アレはどうやら重戦士ゴルバの家ダ。」

ケニー「よくわかるな。何でも知ってるなんて流石ここを旅した人間だな。」

ジギー「NO、どうやらこの義体のロボットには場所のデータを読み込むことができるらしい。

だから未知の場所の名前も覚えることができるのヨ。

他にも人名やモンスターのデータも読み込めるよ。」

ケニー「そうか、Drリックの科学力に感謝だな。」

リナ「重戦士かぁ…もしあの方に聞いてみたら何かわかるかも…。」

ハルト「いや、いっそのこと仲間にしてやったらどうだい?

重戦士ってパワフルで仲間に等しいだろ。」

リナ「それもそうね…もしゴルバが話に乗ってくれたらの話だけど…」

ラジン「少々お邪魔してみるか。宿を取らせてくれるかもしれない。」

スタン「僕もちょうど疲れたところだ。旅に休息はつきものだし。」

アユリ「あたしも腹ペコだし…何か美味しいものないかな…?

さっそくお邪魔しましょう!」

リナ「そうね、とにかくブザーを押してみないと。」

するとリナはゴルバの家のブザーを押してみた。すると

ゴルバの家「心優しき女戦士リナ=アップル、この家には重戦士ゴルバが居ます。くれぐれもご迷惑かけないように。」

スタン「ここにもMASが…」

すると家のドアから耳のとがった大柄の男が出てきた。

大男「うおっほん!こなとこに客さんがくるなんて久しぶりじゃのう。」

リナ「ふあ…なんてデカい人…!」

スタン「それになんか耳がとがってるぞ?もしかして亜人か?」

大男「わしゃ、エルフじゃ。エルフってのは年を取らんからいいのう。」

ハルト「エルフか…道理で耳がとがってるってわけだ…

それにこいつ、流石重戦士だけあってガタイな…こいつがゴルバか?」

ゴルバ「いかにもわしが、重戦士ゴルバじゃ。

本名はゴルバ=トロール。わかるかいな?」

ラジン「そうか、この方がゴルバという方か。」

リナ「私リナ=アップル。サン・ミルド村の女戦士。」

スタン「僕はウィッシュワーツの魔法使いスタン=マルフィー。」

ラジン「我はインディ砂漠の戦士ラジン=シンドゥと申す。よろしく頼むよ。」

ハルト「俺はゴーランド王国の王になる男、ハルト=ランツァートだぜ!」

ケニー「吾輩はビンボール村のケニー=グレハムだ。」

アユリ「あたし…ヒュウガ島の無音あゆり。」

ジギー「オレサマはDrリックが作ったロボット、ジギー13だヨ。」

ピコレ「フランおうこくのおひめさま、ピコレっていうの!これからもなかよくしよーね!」

ゴルバ「さすが若い者はいいのう。そういえばお主ら宿なしで旅してたんじゃな?

よかったらわしうちでゆっくり泊まりんしゃい。食いもんもたーんとあるんでな。」

リナ「そういえばゴルバさん、私たちの仲間になってくれない?

もしあなたのパワーがあればどんな鉄壁も壊せそうなんですが…。」

ゴルバ「え…なんじゃいきなり...!?」

スタン「あの、ヴァストローデが復活したんだから、一緒に旅してほしいんだ!」

ゴルバ「ダメじゃ…わしはここを…離れるこたできん…。」

リナ「ええ!?そんな…どうして!?」

ゴルバ「理由はいえんが…何故か知らんがわしはお主らと戦えんのだ。」

リナ「そんな...それじゃあヴァストローデの情報くれない!?あと炎の城も…!」

ゴルバ「ヴァストローデの居場所か…いや、わしゃなんもしらん…。

炎の城の場所なら知ってるが…。」

ハルト「それじゃあ炎の城のばしょを…!」

ゴルバ「それも教える訳にもいかん…。」

リナ「ええ、どうして!?」

ゴルバ今日はもう遅いし詳しい事情は明日じゃ。時間がたてばお互い頭冷えるじゃろうて。

今日はここでゆっくり休みらっしゃい。」

リナ「うん!ちょうどよかった!」

スタン「僕だって足がもつれてたんだ。険しい山を登ってきたから…」

アユリ「あたしもお腹ペコペコだし…今日のこんだてなに?」

ゴルバ「ゴルバ属性のホワイトソースたっぷりグラタンじゃ!

勝手に食材使ってかみさんに怒られるか心配じゃが…遠慮なく食え!」

アユリ「やったぁ!!!ごはんごはん♪」

するとあゆりは嬉しそうに踊った。

ケニー「まったく楽しそうだな。人の家で一日過ごすなんてな。

(最近の人達は元盗賊とみなされなくてたすかる…。)」

ジギー「そういえばテレビゲームある?」

ゴルバ「もちろんあるぞい。当時流行ってたから買って実際遊んでみると飽きないくらいやってて面白くてな。

特にテトリスと格ゲーがな。古い型だけどまだ使えるぞい。」

ジギー「OK!」

ラジン「ではここで一晩休むとするよ。トロール殿。」

ハルト「明日になったらとっととあのお菓子どもを助けに行こうぜ!」

ピコレ「おとまりおとまり~♪たのし~な~♪」

リナ「ではお願い、ゴルバさん!」

こうしてリナたちはゴルバ特性のグラタンを食べ、

男女関係なく7人とも仲良くお風呂に入り、ジギーだけは機械であるために

風呂に入れないためゴルバにボディをクリーニングしてもらい、

リナたちは大きなマットレスの上で眠った。

そして手足を引っ込めデジタル目覚まし時計に変形して

スリープモードになっていたジギーは、不思議な夢を見た。

 

そう、自分が人間だったころのガブリエル=シュタークとして、宿敵ヴァストローデと戦っていた。

ほとんどの仲間は戦死し、残るはガブリエル勇者サン=ミルド、そしてヒーラーの少女マナ=ハルバードだけ…

サン「ダメだ…全く歯が立たん…!このままではボクたちは全滅だ…!」

マナ「そんな...どうしたらいいの…!?」

そんなとき、ガブリエルが開発した大砲に3っつの宝玉を埋め込み、ヴァストローデを封印する準備をした。

ガブリエル「サン!このままでは勝ち目ない…だからオレは奴に…この宝玉で一気に封印するゾ!」

マナ「ダメよ、ガブリエル君!その銃はあなたの力を消耗するほど危険じゃなかったの…!?」

サン「マナ、ガブリエルを…信じろ…あの3つの宝玉は…世界を救うための最後の希望だ…!」

マナ「ミルド君…!」

ガブリエル「さあ、下がってロ...!3竜の力を開放ダ!そして…!」

するとガブリエルはその大砲で埋め込まれていた三つの竜の玉を

ヴァストローデに向けて発射した。その3っつの竜の玉はワームホールを生み出し、

ヴァストローデを異次元に送り込むことでヴァストローデを封印することに成功した…!

しかし………!

ばたっ!!!

マナ「ガブリエル君!」

サン「ガブリエル!しっかりしろ!」

ガブリエル「…オレは…力を使いすぎた……休息が必要…いや…オレはもう駄目ダ……

これが…オレの…運命だったようダ...だが悲しむことはない…なぜならオレはやり遂げタ…

…何故ならオレは奴を封印することが…できたからダ………

…これで誰も脅かすものは存在しないハズ……

サン…マナ………末永く…幸せに……………ガクッ…!」

こうしてガブリエルは静かに息を引き取った。

サン「くっ…ガブリエル...お前はボクらの為によく戦ってくれた...君のおかげで…

ヴァストローデは封印されたんだ…もう何も…脅かすものはない…!」

マナ「ガブリエル君…天国で父さんと母さんに合ってるね…?

どうか安らかに眠ってね…。

他の…死んでいった仲間たちも…!」

サン「これで平和が戻るといいな…ガブリエル、」

こうしてヴァストローデが封印されたことに世界に平和が戻り、

サンとマナは結婚し子孫が産まれ、生物も何もない草木だけの草原にて二人で村を築いたのだ…

この100年後、ヴァストローデが再び目覚めることを知らずに...!

 

そして気が付くと、ジギーは中に内蔵されていた体内時計によって目覚めた。

ジギー「…アレ?今の夢はまさか…」

リナ「おはよ、ジギー君。なんか顔色悪いけど…どんな夢見てたのかな?」

スタン「ナイトメアでも見てたのか?」

ジギー「あ、おはようゴザイマス!(それにしてもあの夢…まるで昔のオレみたいダ...)

あ、夢についてだが他人の夢を気にしないほうがいいヨ。」

リナ「あ、ごめんなさい…」

ゴルバ「おはよう、皆よく眠れたかな?」

リナ「うん、結構気持ちよく眠れたよ。」

スタン「それよりトロールさん、なんで昨日どもってたんだい?」

ゴルバ「思い出したんじゃが、実はこないだわしのかみさんとむすめさんがさらわれてな...」

リナ「ふええっ!?さらわれたァ!?一体誰が…!?」

ゴルバ「この前ハイキングに行ってたら山の上で怪しい爺さんに出会ってな…

その爺さんがわしのかみさんとむすめさんを連れて行ったのじゃ。

奴はこう名乗っていた。たしかマッドサイエンティストかな?」

ジギーマッドサイエンティストだト…!?」

スタン「つまりあいつはブルークみたいな発明家とか

ハーヴェイさんみたいな研究員とは違う悪の科学者ってことだな?」

ゴルバ「全くその通りじゃ。やつはわしらの仲間を山の上に連れさらい人体研究を行っておる。

もしわしのかみさんとむすめさんを奴から助けてくれたら仲間になってやる。

後ついでに炎の竜の居場所もな。」

リナ「ほんと!?それじゃあ早くみんな起こしてあげないと…!」

ゴルバ「あ、まずは朝飯を…腹が減ってたら戦ができんぞ。」

リナスタンジギー「はーい!」

こうしてリナは他の仲間を起こし、8人でゴルバが用意した朝食を食べ、

ゴルバの妻子と仲間のエルフたちを助けるため、

リナたちはガトー山を鉄片を目指して登っていった。

果たしてエルフをさらい人体実験を行っているマッドサイエンティストとはいったい…!?

前の章へ 次の章へ

戻る

inserted by FC2 system